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遺言書を作成しようと考えた際、多くの方が最初に直面するのが「遺言書はどこに頼むのが正解なのか」という疑問です。弁護士、司法書士、行政書士、公証役場、信託銀行など選択肢は多岐にわたり、それぞれ役割や費用、対応範囲が異なります。そのため、これらの違いを理解しないまま選んでしまうと、「思っていたサポートを受けられなかった」「費用が想定以上にかかった」といった後悔につながることも少なくありません。
さらに、遺言書は単に書けばよいものではなく、法律で定められた方式を満たしていなければ無効になる可能性があります。せっかく時間と費用をかけて作成しても、相続開始後に使えない遺言書になってしまっては意味がありません。だからこそ、遺言書をどこに頼むかは慎重に判断する必要があります。
この記事では、遺言書作成を検討している方に向けて、主要な相談先ごとの特徴や向いているケース、判断基準を網羅的に解説します。この記事を最後まで読めば、ご自身の状況にあった相談先・依頼先が明確になり、安心して次の一歩を踏み出せるようになるはずです。
- 本記事を読んでわかるポイント
- ・遺言書をどこに頼むことができるかの全体像
・専門家ごとの役割と向いているケース
・遺言書作成の費用や保管方法
・失敗しない相談先・依頼先の判断基準
遺言書はどこに頼むべきかの基本知識

遺言書をどこに頼むかを考えるうえで、まず重要なのは「各相談先・依頼先が何をできて、何ができないのか」を正確に理解することです。肩書きだけで判断してしまうと、後から想定外の制限に気付くことがあります。ここでは代表的な相談先について、それぞれの特徴を具体的に解説します。
法律事務所の弁護士に遺言書を頼むときの特徴
法律事務所の弁護士は法律全般の専門家であり、遺言書作成において最も守備範囲が広い存在です。遺言書の文案作成だけでなく、相続人同士の関係性や過去のトラブル、将来起こり得る紛争リスクまで見据えたうえで、内容を設計できる点が最大の強みです。
たとえば、再婚家庭で前妻との子と後妻がいる場合や、相続人の一部と関係が疎遠な場合など、感情的な対立が生じやすいケースでは、遺言書の書き方一つで相続トラブルの発生確率が大きく変わります。弁護士に遺言書を頼むことで、遺留分侵害額請求を見越した配分や、付言事項の表現方法まで含めた助言を受けられます。
ポイント: 将来の紛争予防を最優先したい場合には、弁護士に遺言書を頼む選択が有効です。
一方で注意点もあります。弁護士に依頼した場合の費用は、後述する他の相談先と比較すると最も高額になりやすく、遺言の内容や遺産規模によっては遺言書作成の手数料だけで数十万円以上になることもあります。また、費用体系は法律事務所ごとに異なるため、必ず事前に見積もりを取り、どこまで対応してもらえるのかを確認することが重要です。
司法書士事務所の司法書士に遺言書を頼む場面
司法書士事務所の司法書士は登記の専門家であり、特に不動産が関係する相続案件に強みを持っています。遺言書をどこに頼むか検討する際、遺産の大半が自宅や土地などの不動産で占められている場合には、司法書士への相談は非常に現実的です。
このように、司法書士に遺言書を頼むメリットは、遺言書作成後の相続登記までを一貫して見据えたアドバイスが受けられる点にあります。どの不動産を誰に相続させるかを明確にすることで、相続開始後の名義変更手続きがスムーズになります。
ポイント: 遺言書作成から相続登記まで一連の流れを想定できる点が、司法書士の大きな強みです。
ただし、司法書士は紛争性のある案件を単独で扱うことはできません。相続人同士で争いが生じる可能性が高い場合には、弁護士との連携が必要になる点を理解しておく必要があります。
行政書士事務所の行政書士に遺言書を頼む利点
行政書士事務所の行政書士は、遺言書作成支援を正式な業務として扱っていることも多く、特に初めて遺言書を作成する方にとって気軽に相談しやすい存在です。遺言書作成にかかる費用面でも他の相談先に比べて安価に抑えられていることが多く、「まずは専門家に相談したい」という最初の段階の方に向いています。
遺言の内容が比較的シンプルで、相続人関係も明確な場合であれば、行政書士に遺言書を頼むことで、法的要件を満たした文案作成や手続きのサポートを受けることができます。また、丁寧にヒアリングを行い、本人の思いを文章に落とし込む点を重視する行政書士も多く見られます。
ポイント: 相続関係が整理されているケースでは、行政書士への依頼は費用対効果の高い選択です。
一方で、訴訟や交渉を伴う可能性のある案件には行政書士単独では対応できません。また、遺産に重要な不動産が含まれる場合における相続登記を見据えたサポートも難しい場合があります。そのため、複雑な事情や重要な不動産がある場合は、最初から弁護士や司法書士と連携できる体制があるかを確認しておくと安心です。
公証役場の公証人に頼んで遺言書を作る場合
公証役場では、公証役場の公証人が依頼者からヒアリングしながら公正証書遺言を作成することができます。公正証書遺言は、公証人が作成に関与するため、方式不備による無効リスクが極めて低い点が最大の特徴です。また、原本が公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配もほとんどありません。
例えば、高齢の方や、確実性を重視したい方にとっては、公証役場で遺言書を作る選択は非常に有効です。実際、公正証書遺言は相続実務の現場でも利用頻度が高く、公正証書遺言により金融機関や法務局の相続手続きが円滑に進みやすい傾向もあります。
ただし、注意点として、公証人は中立的立場のため、依頼者の個別事情に踏み込んだ相続対策の提案は行いません。そのため、公正証書遺言を作成する場合にも、事前に弁護士、司法書士、行政書士などの専門家に相談したうえで進めるのが安全です。
なお、公正証書遺言の手数料は財産額に応じて法律で定められています。詳細な基準は公的に公開されており、正確な情報は日本公証人連合会の公式資料で確認できます。(出典:日本公証人連合会「公正証書遺言の作成」)
信託銀行へ遺言書を頼む場合
信託銀行では「遺言信託」というサービスを提供しており、遺言書の作成支援から保管、相続開始後の遺言執行までを一括して任せることができます。遺言書をどこに頼むか考える際、手続きをすべて任せたい方にとっては魅力的な選択肢です。
特に、相続財産が多い場合や、相続人が遠方に住んでいる場合など、相続実務で残された家族に負担をかけたくないと考える方に利用されています。ただし、遺言信託はこのような包括的なサービスである反面、初期費用や継続費用が高額になりやすい点は注意が必要です。
注意: 遺言信託は初期費用や継続費用が高額になりやすい。
なお、遺言信託は、契約内容によっては長期的な拘束が生じることもあるため、必ず複数の選択肢と比較したうえで判断してください。
■ 遺言信託については、こちらの記事も参考になります。
遺言書はどこに頼むかの判断基準

次に、この章では、遺言書をどこに頼むかを判断するための現実的な基準を整理します。遺言書の作成費用だけでなく、保管方法や相談の流れ、起こりやすいトラブルまで理解することで、自分に合った依頼先が見えてきます。
遺言書作成の費用相場
遺言書作成の費用は、依頼する専門家や遺言書の種類、内容の複雑さによって大きく異なります。一般論としては、行政書士や司法書士は比較的費用を抑えやすく、弁護士や信託銀行は高額になりやすい傾向があります。ただし、これはあくまで傾向であり、実際の金額は個別事情によって大きく変動します。
重要なのは、表示されている金額だけで判断しないことです。たとえば「遺言書作成一式〇万円」と書かれていても、その中に含まれるサービス範囲は依頼先ごとに異なります。財産調査や相続関係説明図の作成、遺留分への配慮、相続発生後のフォローまで含まれているのかを、事前に必ず確認する必要があります。
費用を見る際のポイント
遺言書作成の費用を見る際のポイントをまとめると以下のとおりです。
- どこまでのサービスが基本料金に含まれているか?
- 追加費用が発生する条件は何か?
- 将来の修正や相談は別料金になるか?
また、以下に遺言書作成の費用相場を表にしました。あくまで一般的な目安としての費用感です。実際の金額は必ず各専門家に直接確認してください。
| 依頼先 | 費用の目安 | 特徴 |
| 行政書士 | 比較的抑えめ | 初めての遺言書作成に向く |
| 司法書士 | 中程度 | 不動産中心の相続に強い |
| 弁護士 | 高め | 紛争予防・複雑案件に対応 |
| 信託銀行 | 高額 | 作成から執行まで一括管理 |
以上のように、遺言書作成の費用は、相談先・依頼先を選ぶうえで重要な判断材料ですが、安さだけを重視すると、結果的に家族へ負担を残すことにもなりかねません。サービス内容とサポート範囲のバランスを見ることが、遺言書をどこに頼むかを考えるうえで欠かせません。
遺言書の保管方法と注意点
遺言書は「作って終わり」ではなく、作成後の保管方法が極めて重要です。せっかく適切な内容で作成しても、相続開始時に見つからなければ意味がありません。また、保管方法によっては、改ざんや紛失、存在自体が知られないリスクもあります。
公正証書遺言の場合は、公証役場で原本が保管されるため、紛失や改ざんの心配はほぼありません。一方で自筆証書遺言は、従来は自宅保管が基本となるため、相続人が気付かずに処分してしまったり、意図せず内容を疑われたりするケースがありました。しかし、2020年7月10日より、法務局による自筆証書遺言保管制度がスタートし、自筆証書遺言についても、法務局による方式面のチェックと安全な保管が受けられるようになっています。
この自筆証書遺言保管制度は、遺言書の形式的な不備を減らし、相続開始後の家庭裁判所での検認手続きが不要になる点でもメリットがあります。制度の概要や正式な条件については、法務省の公式情報を必ず確認してください(出典:法務省「自筆証書遺言書保管制度について」)。
なお、公正証書遺言や自筆証書遺言など、いずれの遺言方法を選ぶ場合でも、誰が遺言書の存在を把握しているかを明確にしておかないと、相続開始後に発見されないリスクが残ります。自筆証書遺言保管制度では、遺言者の死亡時に、あらかじめ指定された遺族に対して法務局から通知があるので、遺言書が発見されないリスクを回避できます。
遺言書をどこに頼むかを考える際は、作成支援だけでなく、保管や相続開始後の流れまで含めて説明してくれるかどうかも、重要な判断材料になります。
遺言書作成の相談からの流れ
遺言書作成の相談は、思っている以上に整理すべき情報が多く、自己判断だけで進めると抜け漏れが生じやすい分野です。一般的な流れとしては、初回相談、内容の整理、文案作成、最終確認、完成というステップで進みます。
特に初回相談では、家族構成、相続人の関係性、財産の種類とおおよその内容を正確に伝えることが重要です。不動産や預貯金だけでなく、生命保険や負債、将来売却予定の資産なども含めて整理することで、より実態に合った遺言書を作成できます。
相談時に整理しておきたい情報
相談時に整理しておきたい情報は、大きく以下の三点です。
- 相続人の範囲と関係性
- 主な財産の種類と所在地
- 特定の人に配慮したい事情の有無
遺言書を専門家に依頼する最大のメリットは、法的要件の確認だけでなく、将来トラブルになりやすい表現を事前に修正できる点にあります。単に希望を書き並べるのではなく、「その書き方で本当に実現できるのか」という視点でチェックを受けることが重要です。
そして、最終的な文案が完成した後も、内容を十分に理解したうえで署名・押印することが大切です。分からない点を残したまま完成させることは避け、納得できるまで説明を受けるようにしてください。
遺言書で起きやすいトラブル
遺言書に関するトラブルで特に多いのが、方式不備による無効、内容の解釈を巡る争い、そして遺留分への配慮不足です。特に自筆証書遺言では、日付の書き方や署名、押印の欠如など、基本的な要件を満たしていないために無効と判断されるケースが後を絶ちません。
また、「全財産を長男に相続させる」といった単純な表現が、結果的に他の相続人との深刻な対立を生むこともあります。遺言書は法的には有効でも、感情面の対立まで解決できるとは限りません。特に、自己判断のみで作成した遺言書は、想定外の無効リスクや紛争リスクを抱えやすい点に注意が必要です。
例えば、遺留分を侵害する内容であっても、直ちに遺言書が無効になるわけではありませんが、相続開始後に請求が行われれば、相続人同士の関係が大きく悪化する可能性があります。こうした点を踏まえ、専門家は「法的に書けるか」だけでなく、「実際に争いにならないか」という視点で助言を行います。
少しでも不安がある場合は、早い段階で専門家に相談することが、結果的にご家族を守る最善の選択になります。最終的な判断は、必ず専門家と十分に話し合ったうえで行い、正確な情報については公式機関の案内も確認するようにしてください。
まとめ:遺言書はどこに頼む?相談すべき専門家の選び方
遺言書はどこに頼むかという問いに、万人に共通する正解はありません。家族関係、財産内容、費用感、重視するポイントによって、最適な相談先・依頼先は変わります。
重要なのは、「自分の場合はどこに頼むのが適切か」を整理し、その分野に強い専門家を選ぶことです。迷った場合は、複数の専門家に相談し、比較したうえで判断することをおすすめします。最終的には、ご自身が納得できる形で遺言書を作成することが、後悔しない相続対策への第一歩となります。
次のアクションへのヒント
■ 遺言信託については、こちらの記事も参考になります。
■ そのほか遺言については、こちらの記事も参考になります。