知的財産管理技能士であれば企業の知財部門に就職しやすいか?

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知的財産管理技能士であれば企業の知財部門に就職しやすいか?

知的財産管理技能士の資格を取得することで企業の知財部門等への就職や転職に有利になるのでしょうか?

答えは、イエスです。とくに二級知的財産管理技能士は、企業の知財部門等への就職や転職に活用するにあたってコスパが高いのでおすすめです。以下、詳しく見ていくことにします。

知的財産管理技能士が企業の知財部門等への就職・転職に有利な理由

「企業の知財部門」というのは、特許、意匠、商標、著作権といった知的財産に関する管理業務を行っている部門を指します。会社によって違いますが、例えば、知的財産部、法務部、特許部といった名称の部門です。

厳密には「企業の知財部門」とは異なりますが、特許や商標の申請を代行する「特許事務所」や「法律事務所」なども、知的財産管理技能士の資格が活かせる「企業の知財部門等」に入れることができます。

知的財産管理技能士の資格はスキルの証明

ところで知的財産管理技能士の資格は、弁護士資格や医師免許のようにその職業に就くために必須の資格や免許ではありません。

つまり、知的財産管理技能士の資格が無くとも企業の知財部門で働くことは可能ですし、特許事務所や法律事務所でさえも、特許技術者やパラリーガルという立場であれば、弁護士や弁理士の資格はもとより、知的財産管理技能士の資格が無くとも働くことが可能なのです。

では、知的財産管理技能士はどういった性質の資格なのかと言うと、企業の知財部門で仕事するための基本的なスキルを有していることを証明する資格となります。例えるなら、英検と似たような一定のスキルを証明する資格だと言えます。

知的財産スキルの証明として知的財産管理技能士が選ばれる理由

知的財産管理技能検定の公式サイトでは、知的財産管理技能検定1級、2級、3級の「技能検定の合格に必要な技能及びこれに関する知識の程度」が次のように定義されています。

知的財産管理技能検定1級(一級知的財産管理技能士)

知的財産管理の職種における上級の技能者が通常有すべき技能及びこれに関する知識の程度(知的財産管理に関する業務上の課題の発見と解決を主導することができる技能及びこれに関する専門的な知識の程度)を基準とする。

知的財産管理技能検定1級は、「知的財産管理の職種における上級の技能者」なので、企業の知財部門における責任者クラスのスキルに相当することになります。

つまり、知財部門の責任者クラスを採用しようとする企業側としては、一級知的財産管理技能士の資格があればスキル的には条件に合うことがわかるので、転職時には有利になります。

ただ、一級知的財産管理技能士は取得の難易度が高く、受験資格として所定年数の実務経験が必要で、しかも合格レベルになるまでの勉強に時間もかかるので、転職での活用を目的として一級知的財産管理技能士の取得を目指すのはあまりコスパがいいとは言えません。

知的財産管理技能検定2級(二級知的財産管理技能士)

知的財産管理の職種における中級の技能者が通常有すべき技能及びこれに関する知識の程度(知的財産管理に関する業務上の課題を発見し、大企業においては知的財産管理の技能及び知識を有する上司の指導の下で、又、中小・ベンチャー企業においては外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できる技能及びこれに関する基本的な知識の程度)を基準とする。

知的財産管理技能検定2級は、「知的財産管理の職種における中級の技能者」であり、企業の知財部門において戦力となる中堅クラスのスキルに相当します。

つまり、知財部門の中堅クラスを採用しようとする企業側としては、二級知的財産管理技能士の資格があればスキル的には条件に合い、即戦力として活躍できることがわかるので、就職や転職時には有利になります。

とくに二級知的財産管理技能士は、実務経験が無くても取得可能であり、個人差はありますが6ヶ月~1年半程度勉強すればたいてい合格できるので、就職や転職での活用を目的として二級知的財産管理技能士の取得を目指すのはコスパがいいと言えます。

知的財産管理技能検定3級(三級知的財産管理技能士)

知的財産管理の職種における初級の技能者が通常有すべき技能及びこれに関する知識の程度(知的財産管理に関する業務上の課題を発見し、大企業においては知的財産管理の技能及び知識を有する上司の指導の下で、又、中小・ベンチャー企業においては外部専門家等と連携して、その課題を解決することができる技能及びこれに関する初歩的な知識の程度)を基準とする。

知的財産管理技能検定3級は、「知的財産管理の職種における初級の技能者」であり、企業の知財部門においては見習いレベルといったスキルに相当します。

つまり、知財部門のスタッフを採用しようとする企業側としては、三級知的財産管理技能士の資格があってもスキル的には即戦力とは言えないので、就職や転職時にはそれほど有利にはならないでしょう。

ただ、知的財産への関心や勉強の意欲は示すことができるので、何も資格が無いよりは三級知的財産管理技能士があったほうが印象はいいかもしれません。

なお三級知的財産管理技能士は、実務経験が無くても取得可能であり、個人差はありますが2~6ヶ月程度勉強すればたいてい合格できるので、就職や転職での活用を目的として三級知的財産管理技能士の取得を目指すこと自体は肯定的に考えていいと思います。

二級知的財産管理技能士が就職・転職に役に立った事例

知的財産管理技能士の資格が企業の知財部門等への就職や転職に有利になる、とくに二級知的財産管理技能士はコスパが高いのでおすすめだということを説明してきました。

以下では、長年IT企業の知的財産部門に勤務している「よしを」ことこの私の経験談として、とくに二級知的財産管理技能士が就職・転職に役に立った事例を紹介してみようと思います。

ちなみに、私は法務知財部門での人材採用にも関わっている立場であり、知財担当者の採用にあたって知的財産管理技能士の資格をどの程度参考にしているのかという観点からお話します。

知財未経験の新卒や中途を募集したときの話

特許と商標の担当者として知財未経験の新卒や中途を募集したことがあります。知財未経験者の採用の場合、ゼロから教育するつもりで採用するため、頭のよさや人柄に加え、知的財産に興味があるとか、知的財産を守ることにやりがいを感じる人であるかどうか、という観点で選考します。

知財未経験の募集とはいえ応募者のうち三級知的財産管理技能士の資格をもっている人をちらほら見かけます。やはり、実務経験無しで、しかも短期間で取得できるので就職活動や転職活動の際に三級知的財産管理技能士を取得する人は少なくないようですね。当然、知的財産関連の資格が何もない人よりは三級知的財産管理技能士の資格をもっている人のほうに目が行きます。

ただ、別の言い方をするなら、三級知的財産管理技能士を取得しているだけでは候補者が何人もいるので、差別化が十分ではないとも言えます。そんな中、知財未経験で二級知的財産管理技能士を持っている人は限られているので、どうしても最有力候補になってしまいます。

このように、知財未経験の就職や転職においては、二級知的財産管理技能士の資格をもっていると非常に有利となっています。

知財経験者の中途を募集したときの話

特許と商標の担当者として知財経験者の中途を募集することがよくあります。知財経験者の採用の場合、即戦力として仕事をして欲しいことから、頭のよさや人柄に加えて、現在の知的財産管理のスキルがどの程度なのかという観点を重視して選考します。

知的財産管理のスキルを知るために最も注目するのは職務経歴書などに記載された知的財産管理業務の経歴となります。ですが、所詮は書類上の記載なので、多少盛って書かれていることも多いように見受けられます。どのような規模の会社で知財管理業務をして来たかによっても違いますしね。

職務経歴書などに記載された知的財産管理業務の経歴とともに、知的財産管理のスキルを客観的に知ることができるのは、弁理士や知的財産管理技能士の資格になります。

例えば、二級知的財産管理技能士の資格を取得しているのであれば、知的財産部門の中堅クラスのスキルを有することの客観的な証明となりますので、二級知的財産管理技能士の資格を有している候補者は中堅クラスのスキルを有することの信憑性も高くなり、有力候補として選抜することが多くなっています。

このように、知財経験者の転職においても、二級知的財産管理技能士の資格をもっていると非常に有利となっています。

まとめ

以上で説明したとおり、知的財産管理技能士の資格を取得することで企業の知財部門等への就職や転職に有利となります。

とくに二級知的財産管理技能士は、企業の知財部門等への就職や転職に活用するにあたってコスパも高いのでおすすめです。

いろいろとメリットの多い知的財産管理技能士の取得を目指してみてはいかがでしょうか?

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