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知的財産管理技能検定の受験資格はどうなっているのでしょうか?学歴、年齢、実務経験など関係なく受験できるのでしょうか?
とくに、企業の知財部門への就職・転職に知的財産管理技能士の資格を活かそうとしている場合、知財部門での実務経験はまだ無いことも多いでしょうから気になりますね。
ですが安心してください。知的財産管理技能検定3級と2級は、受験資格は実質定めが無いに等しく、学歴、年齢、実務経験など関係なく受験できます(ただし注意すべき点はあり)。以下、もうすこし詳しく見て行きましょう。
知的財産管理技能検定1級、2級、3級の受験資格
知的財産管理技能検定の公式サイトで「受験要項」を見ると、受験資格として次の記載があります。
原則として、「知的財産管理」職種での仕事の経験(実務経験)が必要です(ただし3級は不要)。
必要とされる実務経験年数は等級によって異なり、一定の要件を満たす場合は短縮されたり不要となります。
さらに「受験資格の詳細」というページがあり、そこには以下のとおり各級の受験に必要な受験資格が詳細に記載されています。なお、「受験資格」に複数の記載があるものは、そのうちどれか1つが該当すればいいということです。
等級 | 試験区分 | 選択作業 | 受検資格 |
1級 | 学科試験 | 特許専門業務 コンテンツ専門業務 ブランド専門業務 (共通) |
知的財産に関する業務について4年以上の実務経験を有する者 |
2級技能検定の合格者(※1)で、知的財産に関する業務について1年以上の実務経験を有する者 | |||
3級技能検定の合格者(※1)で、知的財産に関する業務について2年以上の実務経験を有する者 | |||
学校教育法による大学又は大学院において検定職種(1級)に関する科目について10単位以上を修得した者で、知的財産に関する業務について1年以上の実務経験を有する者 | |||
ビジネス著作権検定上級の合格者(※2)で、知的財産に関する業務について1年以上の実務経験を有する者 | |||
実技試験 | 特許専門業務 | 1級技能検定(特許専門業務)学科試験の合格者(※3) | |
一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務) | |||
一級知的財産管理技能士(ブランド専門業務) | |||
コンテンツ専門業務 | 1級技能検定(コンテンツ専門業務)学科試験の合格者(※3) | ||
一級知的財産管理技能士(特許専門業務) | |||
一級知的財産管理技能士(ブランド専門業務) | |||
ブランド専門業務 | 1級技能検定(ブランド専門業務)学科試験の合格者(※3) | ||
一級知的財産管理技能士(特許専門業務) | |||
一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務) | |||
2級 | 学科試験 実技試験 (共通) |
管理業務 | 知的財産に関する業務について2年以上の実務経験を有する者 |
3級技能検定の合格者(※1) | |||
学校教育法による大学又は大学院において検定職種に関する科目について10単位以上を修得した者 | |||
ビジネス著作権検定上級の合格者(※2) | |||
2級技能検定の一部合格者(学科または実技いずれか一方の試験のみの合格者)(※3) | |||
3級 | 学科試験 実技試験 (共通) |
管理業務 |
知的財産に関する業務に従事している者または従事しようとしている者 |
3級技能検定の一部合格者(学科または実技いずれか一方の試験のみの合格者)(※3) |
知的財産管理技能検定3級について
上記「受験資格」の表を見ると、知的財産管理技能検定3級の受験資格は「知的財産に関する業務に従事している者または従事しようとしている者」ということ。「従事しようとしている者」というのは、知的財産に関する業務に就くことを志望していればいいわけですから、たしかに「知的財産管理」職種での仕事の経験(実務経験)は不要ですね。
しかも、学歴や年齢についての制限もありませんので、極端な話、将来知財の仕事をしたいと思っている中学生とかでも知的財産管理技能検定3級を受験することができます。受験資格は実質定めが無いに等しいと言えます。
知的財産管理技能検定2級について
大部分の人は「知的財産に関する業務について2年以上の実務経験を有する者」、「3級技能検定の合格者」、「2級技能検定の一部合格者(学科または実技いずれか一方の試験のみの合格者)」の3つのうちいずれかの資格で受験することになります。はじめて知的財産管理技能検定2級を受験するのであれば、「知的財産に関する業務について2年以上の実務経験を有する者」または「3級技能検定の合格者」のいずれかになるでしょう。
このうち「3級技能検定の合格者」であれば実務経験の有無は不問となります。上でも説明したとおり、知的財産管理技能検定3級は実質的に受験資格の定めが無いに等しく、学歴、年齢、実務経験など関係なく受験できますので、知的財産管理技能検定3級を受験して合格した後に知的財産管理技能検定2級を受験するのであれば、知的財産管理技能検定2級についても、学歴、年齢、実務経験など関係なく受験できることになります。
知的財産管理技能検定1級について
知的財産管理技能検定1級については、はじめて受験する場合には実務経験が必須となります。例えば、知的財産管理技能検定2級の合格者であっても、「知的財産に関する業務について1年以上の実務経験を有する者」とされており、実務経験は必要となります。
ただ、知的財産管理技能検定1級を受験しようとする人は、ほとんどの場合、既に知的財産に関する業務で活躍している人であって、腕試しのために受験するのでしょうから、実務経験が必須であることについて大きな問題にはならないはずです。

「実務経験あり」にならないだろうか?
上で説明したとおり、知的財産に関する業務に就くことを志望していれば実務経験が無くても、知的財産管理技能検定3級を受験することができ、知的財産管理技能検定3級に合格すれば知的財産管理技能検定2級も受験できることがわかりました。
しかし、実務経験無しで知的財産管理技能検定2級を受験するためには、先に知的財産管理技能検定3級を受験しなければならず、もし知的財産管理技能検定3級をとること自体にあまり意義を感じていない場合、お金(3級の受験手数料は学科と実技をあわせて1万円以上)と時間(各級4ヶ月ごとに年3回試験実施)が無駄になってしまいます。
目的が知的財産管理技能検定3級ではなく2級だけというのであれば、なんとか「2年以上の実務経験」でいきたいところです。そこで「実務経験」の具体的な内容について詳しく見ていくことにします。
実務経験の具体的な内容について
知的財産管理技能検定の公式サイトに「実務経験について」というページがあります。ここに実務経験の具体的な内容が詳細に記載されています。
これを見ると、実務経験の具体的な内容は、思った以上に広く浅く定義されているようです。例えば、「(2) 法務・リスクマネジメント」の項目を見ると以下の記載があります。
知的財産関連の契約書・規定について法律面のみならず自社の事業活動の側面からも検討した原案作成、修正案の提示、交渉を行う。
上記の内容であれば契約書の作成や審査を担当する通常の法務部門の業務をしているのであれば、知的財産管理技能検定の「実務経験」に該当することがわかります。
また例えば、「(6) 技術」の項目にある「研究・開発を行う。」や、「(7) コンテンツ」の項目にある「コンテンツの開発を行う。」など、研究部門や開発部門の業務が広く的財産管理技能検定の「実務経験」に該当することがわかります。
法務や研究・開発の業務なら実務経験になる
このように、知財部門での業務に限らず、法務部門や研究・開発部門での業務も実務経験になるので、これらの実務経験がある場合には知的財産管理技能検定3級を受験することなく知的財産管理技能検定2級を直接受験することができます。

まとめ
以上のとおり、知的財産管理技能検定3級と2級は、受験資格は実質定めが無いに等しく、学歴、年齢、実務経験など関係なく受験できます。
知的財産管理技能検定2級については、先に知的財産管理技能検定3級に合格していれば実務経験無しで受験できます。
ただ、知的財産管理技能検定での「実務経験」は広く浅く定義されているため、例えば、知財部門での業務に限らず、法務部門や研究・開発部門での業務も実務経験とみなされます。これらの業務の実務経験が2年以上であれば知的財産管理技能検定3級はとばして知的財産管理技能検定2級を直接受験できるのでお金と時間の節約になります。
また、「受検申請の際、実務経験については、自己申告制です。第三者による証明は不要です。」とありますので、実務経験の具体的内容については、あまり堅苦しく考えなくてもよさそうです。