外国人が相続人となる場合の手続きや必要書類を解説

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外国人が相続人となる場合の手続きや必要書類を解説

たとえば故人の配偶者が外国人であったり、相続人の中に外国籍を取得した元日本人が含まれていたり、といったようなケースがあります。このように外国人が相続人となる場合、日本での相続手続きはどのように進めればよいのでしょうか?また、必要書類はどういったものになるのでしょうか?この記事では、外国人が相続人となる場合の基本情報と手続きのポイント、そして必要書類として戸籍に関することを詳しく解説します。

具体的な事例としては、アメリカ人、中国人、韓国人、台湾人、北朝鮮籍の相続人などがいる場合の手続きや必要書類について説明します。外国人相続人に必要な書類や手続きの流れ、相続税の関係など、初めて相続手続きを行う方にもわかりやすく解説しています。この記事を参考に、スムーズな相続手続きを進めてください。

本記事で説明するポイント
・外国籍の相続人が日本で相続手続きを行う際の基本情報と必要書類
・外国人配偶者や外国籍を取得した元日本人が相続人となる場合の手続き
・戸籍謄本、住民票、印鑑証明がない場合の対処法
・アメリカ人、中国人、韓国人、台湾人、北朝鮮籍の相続手続きの具体例

 相続人に外国人がいるときの手続きと必要書類の基本

外国人が相続人となる場合の手続きや必要書類その1

外国人、すなわち日本に帰化していない外国人や、日本国籍を喪失して外国籍を取得した元日本人などが、日本国籍である被相続人(故人)の法定相続人となる場合があります。ここではまず、相続人が外国籍の場合の相続権について解説し、外国人配偶者が相続人の場合や、外国籍を取得した元日本人の場合などの具体例に触れます。そして、日本の戸籍がない場合の対処法や、外国人相続人と相続税の関係についても言及します。

相続人が外国籍の場合の相続権

被相続人(故人)が日本国籍であったなら、その法定相続人のなかに外国人、つまり外国籍の者がいる場合でも、その外国人については日本の法律に基づいて相続権が認められます。日本では、被相続人が日本国籍であれば、日本の法律に従って相続が行われるからです。相続人の国籍は問われず、外国籍の相続人も日本国籍の相続人と同様に相続権を持ちます。

このように、相続人が外国籍の場合でも日本人と同じく相続権があり、同様に相続手続きも行われるのですが、日本人とは異なる注意点もあります。それは戸籍謄本です。日本に永住していたとしても、外国籍の人は日本の戸籍に登録されません。つまり、相続人が外国籍の場合、相続手続きにおいて必須となる戸籍謄本の取得ができないのです。その場合の対処法については後述します。

外国人配偶者が相続人の場合

被相続人の配偶者は必ず相続人となるので、外国籍の配偶者、つまり外国人配偶者であっても相続権が認められ、日本の法律に基づいて相続が行われます。例えば、結婚後に配偶者在留資格が取得できず、短期ビザの更新を繰り返して日本に居住している場合でも、相続権には一切影響しません。

外国人配偶者の場合も、先述のとおり日本の戸籍には登録されませんので、相続手続きには戸籍謄本に代替する書類など、後述する対処法が必要です。なお、外国人配偶者であれば、日本に居住している場合がほとんどでしょうから、相続手続きで必要となる住民票や印鑑証明の取得については問題が無いことが多いでしょう。

外国籍を取得した元日本人の場合

日本国籍を喪失し外国籍を取得した元日本人が相続人となる場合も、日本の法律に基づいて相続権が認められます。被相続人が日本国籍であれば、相続手続きは日本の法律に従って行われます。

外国籍を取得した元日本人の場合、日本戸籍を喪失した時点で日本の戸籍から除籍され、現在の戸籍は存在しません。相続手続きには戸籍謄本に代替する書類など、後述する対処法が必要です。なお、元日本人が外国籍を取得した、つまり外国に帰化した場合は、日本に居住していない場合がほとんどでしょうから、相続手続きで必要となる住民票や印鑑証明の取得ができないため、これに代替する対処法(後述)が必要になる点に注意が必要です。

日本の戸籍がない場合の対処法

外国人相続人、つまり日本国籍を有していない人(元日本人も含む)が相続人となる場合、先述のとおり、日本の戸籍には登録されていないため、日本の戸籍謄本が取得できません。このような場合、相続手続きを進めるためには代替書類を用意する必要があります。

まず、外国人相続人には戸籍謄本がないため、被相続人との関係を証明するために出生証明書や婚姻証明書、死亡証明書(代襲相続の場合など)などを取得します。これらの書類は、相続人の本国の公証人や在日領事館で発行してもらうことができます。また、これらの書類が外国語で作成されている場合は、日本語の訳文を添付する必要があります。

次に、戸籍謄本のほか、相続手続きに必要な住民票や印鑑証明についても言及します。住民登録と印鑑登録については、日本に居住していれば外国籍の人であっても登録可能です。従って、日本に居住している外国人相続人、例えば外国人配偶者などの場合は、住民票や印鑑証明書の取得について一般駅には問題ありません。

一方、日本に居住していない相続人の場合、これは外国籍であっても日本籍であっても同様ですが、日本での住民登録や印鑑登録ができません。従って、日本に居住していない相続人の場合は、住民票や印鑑証明の取得ができないため、これに代替する書類が必要となります。

例えば、住民票がない場合は、現地の公証人に依頼して宣誓供述書を作成してもらいます。宣誓供述書には、相続人の住所や被相続人との関係が記載されており、公証人の認証を受けることで正式な書類、つまり住民票の代替として使用できます。

さらに、印鑑証明が取得できない場合は、署名証明書を代わりに使用します。署名証明書は、相続人が署名したことを証明するもので、現地の公証人に依頼して発行してもらいます。署名証明書は印鑑証明の代替として使用できます。

このように、外国人相続人が戸籍謄本や、住民票、印鑑証明を取得できない場合でも、代替書類を用意することで相続手続きを進めることができます。専門家のアドバイスを受けながら、必要な書類を早めに準備することが重要です。

外国人相続人と相続税の関係

外国人相続人の場合でも、日本の相続税が課税されることがあります。相続税の課税対象は、被相続人と相続人の居住地や財産の所在によって異なります。

まず、被相続人が日本に居住していた場合、相続人が外国籍であっても、相続により取得した全ての財産に対して日本の相続税が課税されます。ただし、相続人が日本に居住していない場合や、被相続人が10年以上日本に住所を持たなかった場合は、日本にある財産にのみ相続税が課税されます。

次に、相続税の申告においては、外国にある財産も日本円に換算して申告する必要があります。資産については被相続人の死亡日の時点の為替レートで換算し、債務については同日の為替レートで換算します。これにより、外貨建ての財産も適切に評価され、相続税の計算が行われます。

さらに、外国にある不動産については、日本の路線価で評価することができないため、現地の不動産会社や専門家に評価を依頼する必要があります。これにより、正確な評価額を基に相続税を計算することができます。

このように、外国人が相続人となる場合でも、日本の相続税が課税されることがあります。相続税の申告や納税に関しては、専門家のサポートを受けながら、適切に手続きを進めることが重要です。

相続人に外国人がいるときの必要書類と戸籍の具体例

外国人が相続人となる場合の手続きや必要書類その2

では、外国人相続人の相続手続きにおける必要書類と戸籍の具体例として、アメリカ人、中国人、韓国人、台湾人、北朝鮮籍の相続人について説明します。

なお、多くの手続きでは、外国文書に「アポスティーユ」または「公印確認」が必要になります。これは、その書類が確かに当該国の公的機関が発行した真正な文書であることを証明する制度です。アポスティーユ制度の詳細は外務省の公式情報が一次情報となります。(出典:外務省「公文書の認証(アポスティーユ)」)。

アメリカ人の相続手続き

アメリカ人が相続人となる場合も、被相続人が日本国籍であれば、相続手続きは日本の法律に従って行われます。アメリカ人相続人も、日本国籍の相続人と同様に相続権を持ちます。

アメリカ人相続人には日本の戸籍謄本がないため、戸籍謄本の代わりとして、親子関係を証明するための出生証明書 (Birth Certificate)、結婚した事実を証明するための婚姻証明書 (Marriage Certificate)、代襲相続時に死亡した事実を証明するための死亡証明書 (Death Certificate)などが必要となります。

また、住民票の代わりとしては、アメリカの住所を証明するための在留証明 (Certificate of Residence)を取得し、現地の公証人 (Notary Public) による公証を受けます。

印鑑証明の代わりとしては、署名が本人のものであることを証明するための署名証明 (Signature Certificate)を取得し、これも公証人による公証を受けます。

これらの証明書は、アメリカ各州の役所やオンラインサービス (例: VitalChek) を通じて取得できます。具体的な取得方法や必要書類については、米国領事館や該当する州の役所に問い合わせるか、オンラインで確認することをお勧めします。

中国人の相続手続き

中国人が相続人となる場合も、被相続人が日本国籍であれば、相続手続きは日本の法律に従って行われます。中国人相続人も、日本国籍の相続人と同様に相続権を持ちます。

中国人相続人には戸籍謄本がないため、戸籍謄本の代わりとして、親子関係を証明するための出生証明書(出生証明)、結婚した事実を証明するための婚姻証明書 (結婚証)、死亡した事実を証明するための死亡証明書 (死亡証明)などが使用されます。

また、住民票の代わりとしては、住所証明書(住所証明)を取得し、中国の公証役場である公証処において公証書を作成したうえで使用します。印鑑証明の代わりとしては、署名が本人のものであることを証明するための署名証明を使用し、これも公証処で公証書を作成したうえで使用します。

これらの証明書は、中国国内の役所や公証処を通じて取得できます。具体的な取得方法や必要書類については、中国領事館や該当する役所に問い合わせるか、オンラインで確認することをお勧めします。

韓国人の相続手続き

韓国人が相続人となる場合も、被相続人が日本国籍であれば、相続手続きは日本の法律に従って行われます。韓国人相続人も、日本国籍の相続人と同様に相続権を持ちます。

韓国人相続人には日本の戸籍謄本がないため、戸籍謄本の代わりとして、個人の出生や死亡などの基本的な事実を証明する基本証明書、家族構成を証明する家族関係証明書、結婚や離婚の事実を証明する婚姻関係証明書を使用します。

また、住民票の代わりとしては、韓国の住所を証明するための住所証明書を該当する韓国の役所で取得します。印鑑証明の代わりとしては、署名が本人のものであることを証明する署名証明書を該当する韓国の役所で取得して使用します。

これらの証明書は、韓国国内の該当する役所や韓国領事館で取得できます。具体的な取得方法や必要書類については、韓国領事館や該当する役所に問い合わせるか、オンラインで確認することをお勧めします。

台湾人の相続手続き

台湾人相続人、すなわち台湾(中華民国)籍の相続人である場合も、被相続人が日本国籍であれば、相続手続きは日本の法律に従って行われます。台湾人相続人も、日本国籍の相続人と同様に相続権を持ちます。

まず、台湾人相続人には日本の戸籍謄本がないため、戸籍謄本の代わりとして、台湾の戸籍謄本を使用します。台湾でも日本と同様に戸籍制度があり、戸籍謄本は該当する地域の戸政事務所で取得できます。

住民票の代わりとしては、台湾の住所を証明するための住所証明書を、該当する地域の戸政事務所で取得します。印鑑証明の代わりとしては、署名が本人のものであることを証明する署名証明書を同じく該当する地域の戸政事務所で取得します。

これらの証明書は、台湾国内の戸政事務所や駐日の台北駐日経済文化代表処で取得できます。具体的な取得方法や必要書類については、該当する役所に問い合わせるか、オンラインで確認することをお勧めします。

北朝鮮籍の相続手続き

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)籍の相続人がいる場合も、被相続人が日本国籍であれば、相続手続きは日本の法律に従って行われます。北朝鮮籍の相続人も、日本国籍の相続人と同様に相続権を持ちます。

北朝鮮籍の相続人にも日本の戸籍謄本がないため、戸籍謄本の代わりとしては、公民証 を使用します。北朝鮮には戸籍制度がなく、公民証が個人の基本情報を証明する書類として使用されています。

住民票の代わりとしては、北朝鮮の住所を証明するための住所証明書を北朝鮮の行政機関より取得します。印鑑証明の代わりとしては、署名が本人のものであることを証明する署名証明書を、同じく北朝鮮の行政機関で取得します。

これらの証明書は、北朝鮮国内の行政機関や駐日の朝鮮総連を通じて取得します。具体的な取得方法や必要書類については、朝鮮総連等に問い合わせるか、オンラインで確認することをお勧めします。

まとめ:外国人が相続人となる場合の手続きや必要書類を解説

外国人が相続人となる場合でも、被相続人が日本国籍であれば相続権は日本法に基づいて認められる点がまず重要です。一方で、日本の戸籍や住民票、印鑑証明が用意できないケースが多く、手続きではそれらに代わる出生証明書・婚姻証明書・死亡証明書・署名証明・宣誓供述書などの外国発行書類が必要になります。これらの書類は公証やアポスティーユ、在外公館での認証、そして日本語訳の添付が求められることが多い点に注意してください。

手続きの流れでは、まず「相続関係の確認(誰が相続人か)」→「必要書類の洗い出し」→「海外での書類取得・認証」→ 「日本側での提出・相続税申告」という順序が基本です。相続税は被相続人の居住状況や財産の所在で課税範囲が変わるため、外貨換算や海外不動産の評価など専門的な対応が必要になります。

実務上のポイントは次のとおりです。

  • 早めの準備:海外書類の取得や認証には時間がかかる。
  • 翻訳と認証:外国語文書には正確な日本語訳と認証を添える。
  • 代替書類の活用:住民票や印鑑証明がない場合は宣誓供述書や署名証明を用意する。
  • 専門家の活用:税務や評価、国際認証手続きは税理士・司法書士・弁護士に相談する。

最後に、ケースごとに必要書類や手続きの細部は異なります。この記事で示したポイントをチェックリストとして活用しつつ、早めに専門家へ相談して手続きを進めることをおすすめします。

次のアクションへのヒント

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