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信託銀行などで提供される遺言信託サービスが「必要な人」「いらない人」について調べている方へ。遺言信託とは、公正証書遺言の保管と死後の遺言執行を金融機関が引き受けるサービスですが、その有用性は遺産の構成や家族関係、相続トラブルの有無、そして弁護士・司法書士・行政書士との役割分担によって大きく変わります。
本記事では公正証書遺言、遺言執行者、費用・最低報酬、相続トラブルや遺留分、家族信託、司法書士による登記対応、不動産割合や預貯金分散の有無といった関連点を網羅して、あなたが遺言信託を選ぶべきか否かを明確にします
- 本記事でわかるポイント
- ・遺言信託を選ぶべき人と避けるべき人が一目でわかる
・弁護士・司法書士・行政書士・家族信託との比較ができる
・遺言信託の費用構造(基本手数料、保管料、執行報酬、最低報酬)を理解できる
・実務上のトラブルと事前に取るべき対策が分かる
遺言信託が「必要な人」「いらない人」の見極め

この章では、遺言信託が本当に適している人と、逆に利用を慎重に検討すべき人を、資産構成、家族関係、相続リスク、手続き負担という観点から整理します。遺言信託は公正証書遺言の保管と死後の遺言執行を信託銀行などが引き受けるサービスですが、その価値は一律ではありません。遺産総額、相続人の構成、不動産の有無、そして遺留分や争族リスクなどを総合的に判断する必要があります。ここでは、筆者が行政書士として実務でかかわった経験を踏まえ、遺言信託を「必要な人」「いらない人」にわける具体的な見極めポイントを丁寧に解説します。
必要な人:高額な資産をもち公正証書遺言を作成する人
まず、遺言信託を検討すべき「必要な人」の中でも、特に重要なのが公正証書遺言を既に作成している、あるいは作成を強く希望している方です。公正証書遺言は、公証人が遺言者本人の意思を正確に記録・確認し、形式不備のリスクを最小化する優れた遺言形式です。法務局による検認が不要なため、死後すぐに遺言執行に取り掛かりやすい点も大きなメリットです(参考:法務局「自筆証書遺言と公正証書遺言の違い」)。
遺言信託を利用すれば、信託銀行が遺言書の保管を安全に行い、遺言者の死亡後は遺言執行者として事務を代行してくれます。この点は、多数の金融資産を持つ方や、複数の金融機関に預貯金が分散している方にとって非常に大きなメリットです。自分自身で各金融機関とのやりとりを行うことなく、専門機関が一元管理を進めてくれることで、相続人の手間が著しく減ります。
ただし、このような便益にはコストも伴います。遺言信託には、主に以下の費用が発生します:
- 基本手数料:遺言信託契約を結ぶ際に一括で支払う費用(例:ある信託銀行の執行コースでは33万円~88万円のプランなど)
- 遺言書保管料:遺言書を信託銀行が保管するための年間費用(例:ある信託銀行は年間6,600円など)
- 遺言変更手数料:遺言内容を変更したときに新たに発生する手数料(例:ある信託銀行は1回55,000円など)
- 遺言執行報酬:相続発生後、信託銀行が執行業務を完了した際の報酬。相続財産評価額(消極財産控除前)に対して段階的な料率が適用される方式が多く、最低報酬額が設定されている場合もあり。(例:ある信託銀行では最低報酬が1,100,000円など)
ポイント:遺産総額が非常に大きい(数億円以上)場合、遺言信託の執行報酬の料率(%)は逓減制を採用している金融機関が多く、相対的なコスト負担が抑えられる可能性があります。
他にも注意すべき点もあります。最低報酬額が設けられているプランでは、遺産総額が中規模(例えば数千万円~1億円未満)だと、実質の手数料率が非常に高くなるケースがあります。銀行サービスを使うときは、最低報酬の適用条件を契約前に十分確認し、他の専門家(弁護士・行政書士など)による遺言執行とコストを比較することが重要です。
また、遺言信託には手数料に含まれない実費が発生する場合があります。例えば、公正証書の作成にかかる公証人費用や、戸籍謄本・固定資産評価証明・登記簿謄本などの書類取得費用、名義変更(相続登記)を外注する司法書士費用などは、信託手数料とは別途利用者の負担となることが多いです。これらのコストを踏まえて、「遺言信託が本当に費用対効果があるか」を慎重に評価する必要があります。
以上から、公正証書遺言を持ち、遺産が大きく、かつ相続人への事務負担を軽減したい方にとって、遺言信託は非常に有力な選択肢です。
必要な人:資産規模が大きく遺言執行の負担を軽減したい人
遺言信託が適しているかどうかは、遺言執行の負担と資産規模をどのように評価するかでも大きく変わります。遺言執行者を家族に任せる場合、金融機関の手続き、不動産の名義変更、相続税申告に必要な資料収集など、多岐にわたる事務処理を行う必要があります。とくに複数の銀行口座や投資信託、株式、保険、不動産が混在している家庭では、遺言執行の負担が想像以上に重くなることがあります。
例えば、相続財産が3,000万円程度であっても、金融機関が複数に分かれていれば、各窓口で必要書類を揃え、手続きを繰り返す必要があります。加えて、不動産がある場合は、法務局での相続登記も手続きの一つです。遺言執行者に選ばれた家族が高齢であったり、本職が多忙であれば、遺言内容を実現するまでに大変な時間と労力がかかることになります。
注意点:遺言執行者には法律上の責任も伴います。遺産管理の不備や分配の遅延が発生すると、他の相続人から責任追及を受ける可能性があります。執行者を家族に任せることが、本当に適切かを冷静に検討する必要があります。
遺言信託を利用した場合、信託銀行が遺言執行者となり、金融資産の解約、払戻し、不動産の名義変更などを専門的に処理します。資産規模が大きい方や、相続手続きが複雑になると予想される方にとっては、非常に大きなメリットになります。一方で、資産がまとまっていないケースや、1つの銀行口座と不動産のみといったシンプルな相続であれば、専門職(行政書士・司法書士など)が遺言執行者として十分対応できる場合もあります。
また遺産総額が一定以上(たとえば5,000万円~1億円以上)の場合は、遺言信託の恩恵が大きくなる傾向があります。ただし、この金額はあくまで目安であり、相続人の状況や遺産の内容によって判断が変わります。最終的な判断は専門家に相談し、メリットとデメリットの両面を丁寧に比較することが重要です。
必要な人:相続人構成が複雑でトラブルを回避したい人
遺言信託が「必要な人」のもうひとつの特徴として、相続人の人数や関係性が複雑であるケースが挙げられます。相続人が多い場合、遺産分割の調整には時間がかかり、書類の収集や署名押印など、実務的な負担も増えます。また、相続人同士の関係が悪い、疎遠である、意思疎通が難しいといった状況では、相続手続きが滞りやすくなります。
とくに、以下のような家庭では遺言信託の利用を検討する価値があります。
- 相続人が4名以上いる(兄弟姉妹が相続人となるケースも含む)
- 前妻(夫)との子どもがいるなど、家族関係が複雑
- 相続人同士の関係が不仲で、個人での話し合いが難しい
- 遠方に住む相続人が多く、手続きのために集まることが困難
ポイント:信託銀行が遺言執行者になることで、遺産分割の連絡調整や資料収集を中立的な立場で進めてもらえるため、相続人間のトラブルを未然に防ぎやすくなります。
一方で、家族関係が良好であり、相続人同士で話し合いができる家庭では、遺言信託のメリットが小さくなることもあります。その場合は、公正証書遺言に「行政書士や司法書士を遺言執行者に指定する」だけで、十分にスムーズな相続が実現できるケースもあります。
相続人構成は、遺言信託の必要性を判断する大きな要素ですが、家族の事情は千差万別です。どの選択肢が最適か判断がつかない場合は、早めに専門家へ相談し、客観的な視点でアドバイスを受けることをおすすめします。
いらない人:中規模資産以下で費用対効果を重視する人
遺産総額が数千万円から1億円未満の中規模資産層では、信託銀行に設定された最低報酬(例:100万円〜150万円)が適用される場合、実効的な手数料率が相対的に高くなります。これは遺産総額が少ない場合でも、銀行側が一定額の報酬を確保する必要があるためで、総費用が割高に感じられることがあります。そのため、遺言信託の利用が必ずしも費用効率の良い選択肢とは限りません。
中規模資産層の方にとっては、弁護士、司法書士、行政書士に依頼することで、総費用を抑えつつ必要な手続きを確実に進められるケースが多いです。士業の報酬相場は幅がありますが、司法書士や行政書士の場合、固定報酬帯が比較的低く設定されていることが多く、登記や手続きが中心のケースではコストパフォーマンスが高くなる傾向があります。例えば、相続登記や銀行手続きのみを依頼する場合、信託銀行の最低報酬と比較して半額以下で済む場合もあります。
さらに、遺言信託には以下の費用が発生する可能性があります:
| 費用項目 | 概要 | 目安金額 |
|---|---|---|
| 初期設定費用 | 遺言書保管開始時に発生 | 5万円〜10万円程度 |
| 年間保管料 | 遺言書保管中に毎年発生 | 数千円〜数万円程度 |
| 遺言執行報酬 | 遺言執行開始時に発生。資産規模に応じて変動 | 資産総額の0.5%〜2%程度 |
| 最低報酬 | 遺産総額が少なくても適用される保証額 | 100万円〜150万円程度 |
このように、遺言信託の費用は規模や資産構成によって大きく変動します。中規模資産でかつ不動産や複雑な資産が少ない場合は、信託銀行よりも弁護士や司法書士への依頼が総費用を抑えられる傾向があります。必ず複数の見積りを取り、費用対効果を比較検討することが重要です。
ポイント:遺言信託は大口資産や分散金融資産の集中管理に強みがありますが、中規模資産層ではコスト面で割高になる可能性があるため、利用の必要性を慎重に判断してください。
いらない人:遺留分侵害や相続人間の紛争可能性のある人
遺言内容が遺留分を侵害する可能性が高い場合や、家族間で感情的な抗争が既に存在する場合、遺言信託の利用は必ずしも適切ではありません。信託銀行はあくまで「死後の事務代行」に特化しており、法的代理権を持たないため、遺留分請求や遺産分割協議の調整が必要な局面では十分に対応できないことがあります。その結果、紛争が発生した場合には遺言執行を辞退することもあり得ます。
このようなケースでは、遺言書作成段階から弁護士を中心に関与させることが非常に重要です。弁護士は以下のような対応が可能です:
- 遺留分侵害リスクを分析し、法的に問題のない分配計画を提案
- 相続人間の交渉・調整を行い、紛争の発生を予防
- 遺言執行中に遺留分請求や相続トラブルが発生した場合の代理対応
- 必要に応じて家庭裁判所への申立や訴訟対応
さらに、遺留分に関する基本的な知識として、民法では法定相続人に最低限保障される取り分が定められています。遺言でそれを侵害する場合、相続人は遺留分減殺請求を行う権利を持つため、銀行だけに任せると紛争の解決が困難になる可能性があります。特に複雑な家族関係や、相続人間に信頼関係の薄いケースでは、信託銀行だけでの執行はリスクが高いです。
| ケース | 遺言信託の対応可能性 | 推奨対応策 |
|---|---|---|
| 遺留分侵害の可能性あり | 銀行のみでは対応不可 | 弁護士を含めて遺言内容を事前調整 |
| 家族間で既に感情的対立あり | 紛争発生時に執行を辞退する可能性あり | 弁護士に遺言執行者または相談役として関与 |
| 法定相続人が多く複雑 | 調整が困難な場合もあり | 事前の遺産分割協議や遺留分計算を専門家に依頼 |
遺言信託は、あくまで「事務負担を軽減するツール」であり、法律的な紛争解決や調整力を持つわけではありません。紛争リスクが高い場合は、必ず弁護士を中心に関与させ、必要に応じて司法書士や行政書士と連携することで、遺産分割や遺留分請求への対応能力を確保してください。
ポイント:遺留分の侵害リスクや家族間のトラブルが想定される場合は、遺言信託だけでなく、弁護士による事前調整や執行対応が不可欠です。
遺言信託が「必要な人」「いらない人」の専門家比較と代替策

遺言信託の利用が適切か否かを判断するためには、弁護士・司法書士・行政書士といった他の専門家との比較が欠かせません。それぞれの強み・弱みを理解し、遺言信託と組み合わせることで費用効率やリスク管理を最適化できます。ここでは、各専門家が対応可能な範囲、費用感、実務上のメリット・デメリットを具体例とともに解説します。
弁護士:遺留分対策と遺言執行者
弁護士は遺言書作成から執行まで、法的観点で包括的にサポートできるのが最大の強みです。遺留分対策、相続人間の紛争予防、遺言執行中の交渉や訴訟対応まで一貫して任せられるため、トラブルリスクが高いケースには特に有効です。例えば、遺留分侵害の可能性がある財産分配を計画する際、弁護士は法的に妥当な範囲で遺留分を調整し、紛争発生を予防できます。
注意:弁護士報酬は案件により幅があります。固定報酬・割合報酬など契約形態を事前に確認することが重要です。
さらに、弁護士は遺言執行者として指定されることも可能で、遺言信託と組み合わせる場合も、紛争対応力を補完する形で活用できます。遺言信託では対応困難な法的調整や訴訟手続きが発生した場合も、弁護士が中立的かつ専門的に対応可能です。
司法書士:不動産登記と手続効率
不動産の相続登記や権利関係の整理が主要業務の場合、司法書士に一括して依頼することで、登記手続きと遺言執行事務を効率化できます。司法書士は土地・建物の権利関係や境界調整に精通しており、登記に関する複雑な問題もスムーズに対応可能です。
遺言信託と連携する場合、銀行が遺言執行を担当しつつ、登記業務を司法書士に委託する形も一般的です。ただし、銀行が外注すると手数料が二重発生するケースがあるため、コスト面での最適化には注意が必要です。
行政書士:遺言書作成と費用相場
行政書士は遺言書の作成支援や書類整備を比較的低コストで行える点が強みです。法的代理権は限定的ですが、手続きの説明や書面作成などの業務に特化しており、複雑な紛争リスクが低く費用を抑えたいケースで有効です。行政書士はあくまで「書類作成・支援」が中心であるため、遺留分請求や法的紛争には対応できません。そのため、遺言信託や司法書士との併用で実務効率を高めることが現実的です。
家族信託:認知症対策と多世代承継
専門家ではありませんが遺言信託に対する代替案として家族信託があります。家族信託は、財産を持つ人(委託者)が、信頼できる家族などの「受託者」に、財産(不動産や預貯金など)の管理・処分を任せる仕組みです。
主に、委託者の認知症や高齢化に備えるための「認知症対策」や「相続対策」として注目されています。判断能力があるうちに財産管理の方法を定めておくことで、本人の判断能力が低下した後も、財産が凍結されることなく、指定した目的に沿った管理・処分を継続できます。
遺言信託は「死後の事務代行」に特化しているのに対し、家族信託は生前管理を含む総合的な承継設計が可能です。特に、相続人間の将来的なトラブルや認知症対策を重視する場合は、家族信託を中心に設計することで長期的なリスク回避が可能となります。
まとめ:遺言信託が「必要な人」と「いらない人」を徹底解説
以上のとおり、遺言信託が「必要な人」と「いらない人」との最終的な判断基準は以下の4点に集約されます:
- 相続財産の構成:不動産比率が高いか、金融資産中心か
- 相続人間の関係:紛争リスクの有無や遠方の相続人の存在
- 生前管理や多世代承継の必要性:認知症対策や将来の承継計画
- 費用の許容範囲:遺言信託、弁護士、司法書士、行政書士の報酬比較
相続トラブルの懸念がある場合は弁護士、登記が主要業務なら司法書士、生前管理や長期承継を重視するなら家族信託を中心に検討してください。費用は一般的な目安であり、必ず見積り比較と専門家相談を行うことが重要です。
補足:当ページでは遺言信託のメリット・デメリット、必要な人・いらない人の判断基準、専門家比較や代替策までを網羅しました。より具体的な手続きやエンディングノートの活用法については当サイト内の関連記事も参考にしてください:無料のエンディングノートの活用法、遺品整理と補助金の解説
重要な注意:本文中の費用や割合は一般的な目安です。正確な情報は各金融機関や公証役場、専門家にご確認ください。最終的な判断は必ず専門家(弁護士・司法書士・行政書士)にご相談ください。
