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遺産分割調停の呼び出しが届いたものの「仕事が忙しい」「関わりたくない」「無視しても大丈夫ではないか」と悩んでいませんか。遺産分割調停の呼び出しを無視するとどうなるのか、欠席した場合の扱いや罰則、相手が来ない場合の進み方など、不安を感じて検索される方は非常に多いです。
筆者は相続業務にかかわる中で、遺産分割調停の欠席や呼び出し無視が原因で、思わぬ不利益を被ってしまうケースを見てきました。調停は話し合いの場だからと軽く考えてしまうと、手続は止まらず、最終的には裁判所の判断で結論が出てしまいます。
この記事では、行政書士である筆者が弁護士などと連携して相続実務に携わってきた経験から、遺産分割調停の呼び出しを無視した場合に起こる流れ、過料の可能性、強制出頭の有無、そして不利にならないための現実的な対処方法まで、初めての方にも分かりやすく整理して解説します。
- 本記事を読んでわかるポイント
- ・遺産分割調停の呼び出しを無視した場合の手続の流れ
・調停欠席や無視による罰則や過料の有無
・相手や自分が調停に来ない場合の現実的な影響
・不利な状況を避けるために取るべき具体的な対応策
遺産分割調停の呼び出し無視はどうなるかの基本整理

ここでは、遺産分割調停の呼び出しを無視した場合に、手続がどのように進み、どのような結果につながるのかを、実務の流れに沿って詳しく整理します。相続人の中には「出席しなければ話は止まるのではないか」「来なければ相手が困るはずだ」と考える方もいますが、家庭裁判所の手続はそのような発想では動きません。調停は欠席すれば止まるものではなく、一定のルールに従って次の段階へ進みます。
遺産分割調停の欠席で不成立と審判移行
遺産分割調停は、家庭裁判所の調停委員を介して、相続人全員が話し合いによる合意を目指す手続です。あくまで「合意形成」が目的であり、全員が納得しなければ調停は成立しません。そのため、呼び出しを無視して欠席が続いた場合や、出席していても意見が対立して折り合いがつかない場合には、調停は不成立と判断されます。
実務上重要なのは、調停が不成立になった時点で手続が終わるわけではないという点です。遺産分割事件では、調停が成立しない場合、原則として自動的に遺産分割審判へ移行します。新たに申立書を提出したり、追加の手数料を支払ったりしなくても、同じ事件番号のまま審判手続が開始されるのが一般的です。
審判に移行すると、裁判官が中心となり、提出された資料や主張をもとに、法定相続分、寄与分、特別受益、不動産の評価などを総合的に考慮して、遺産の分け方を決定します。ここでは当事者同士の話し合いよりも、法的根拠と証拠が重視されます。
重要ポイント: 呼び出しを無視して欠席を続けても、調停は自然消滅せず、裁判所の判断に委ねられる段階へ確実に進みます。
この調停不成立から審判への移行については、家庭裁判所自身も公式に説明しています。制度の正確な位置付けについては、家庭裁判所の公式案内を確認すると理解が深まります(出典:裁判所公式サイト「相続・遺産分割」)。
調停呼び出し無視の過料と罰則
遺産分割調停の呼び出しがあったのに、その期日に正当な理由なく出頭しない場合、過料が科される可能性があります。過料とは、刑罰ではなく行政上の制裁であり、前科が付くものではありません。しかし、法律上は一定のペナルティとして位置付けられています。
一般的な目安として、正当な理由なく期日に出頭しない当事者に対しては、5万円以下の過料が規定されています。ただし、これは「必ず5万円取られる」という意味ではありません。実際の運用では、いきなり過料が科されるケースは多くなく、まずは出頭を促す対応が取られることが一般的です。
それでも、呼び出しを無視し続けたり、裁判所からの連絡に一切応じなかったりすると、過料の判断がなされる可能性は高まります。また、金銭的な問題以上に注意すべきなのは、裁判所からの心証です。正当な理由の説明もなく欠席を繰り返すと、「手続に協力しない当事者」という評価を受けやすくなります。
過料の有無や金額は、欠席の理由、連絡の有無、これまでの対応など個別事情によって判断されます。最終的な判断は裁判所が行うため、正確な扱いについては公式情報の確認や専門家への相談が不可欠です。
注意: 過料は軽いものだと考えられがちですが、相続手続全体への影響を考えると、安易に無視する選択はおすすめできません。
強制出頭や身柄拘束は不可
遺産分割調停の呼び出しを無視すると「裁判所に連れて行かれるのではないか」「警察が来るのではないか」と不安に感じる方もいます。しかし、調停や審判の手続において、相続人を強制的に出頭させたり、身柄を拘束したりすることはできません。
あくまで、調停は話し合いを前提とした家事事件であり、刑事事件のような強制力はありません。そのため、逮捕や連行といった事態が起こることはありません。
ただし、ここで安心してしまうのは非常に危険です。身柄拘束がない代わりに、裁判所は「出席しない当事者の意見を聞かずに判断する」という形で手続を進めます。つまり、本人が来ないこと自体が、結果に反映されないという不利益につながります。
強制出頭がないという点だけを見ると負担がないように感じますが、実務上は主張や事情を説明する機会を自ら放棄している状態であることを理解する必要があります。相続は感情的な対立が絡みやすい分野ですが、手続の場に出ないことが有利に働くことはほとんどありません。
遺産分割審判の強制力と執行
調停不成立により遺産分割審判に進むと、遺産分割審判では、裁判官が相続人の主張や提出資料を精査し、法律に基づいて遺産の分割方法を決定します。この審判は、単なる話し合いの結果ではなく、裁判所の正式な判断です。
審判が確定すると、その内容には法的な強制力が生じます。例えば、不動産の名義変更や預貯金の分配について、審判で定められた内容に従わない場合、強制執行が可能になります。
調停段階で関与していれば、柔軟な解決ができたかもしれないケースでも、審判では画一的な結論になることがあります。裁判官は感情的な事情よりも、法律と証拠を重視するためです。
注意: 調停段階で呼び出しを無視してしまうと、自分の関与が薄いまま、後戻りできない強制力のある結論が出ることがあります。
遺産分割審判の結果に不服がある場合でも、対応できる期間は限られているため、調停などの早い段階からの関与が結果を左右します。
主張の機会を失い不利になるリスク
遺産分割調停や審判では、「誰がどれだけ苦労したか」という感情論よりも、客観的な資料や具体的な事実が重視されます。寄与分や特別受益といった主張も、証拠がなければ認められません。
呼び出しを無視して欠席が続くと、これらの主張を十分に行う機会を失います。調停委員や裁判官に直接説明する場がなくなり、相手方の主張だけが記録に残る形になる可能性もあります。
その結果、本来であれば認められたかもしれない寄与分が考慮されなかったり、生前贈与の事実が十分に検討されなかったりするリスクが生じます。
不利な結果を避けるためには、欠席や無視という選択ではなく、期日変更の申出や代理人出席など、正式な形で手続に関与することが不可欠です。相続手続は一度結論が出ると、やり直しが非常に難しくなります。だからこそ、最初の段階での対応が重要になります。
遺産分割調停の呼び出し無視への現実的な対応策

ここからは、遺産分割調停の呼び出しを無視せざるを得ない事情がある場合や、欠席による不利益を避けるために取るべき現実的な対応策について解説します。調停は「出たくないから無視する」という対応が最もリスクが高く、逆に正しい手順で関与すれば不利益を最小限に抑えることが可能です。相続人としてどのように行動すべきかを、具体的な制度運用に即して整理します。
期日変更と正当理由
遺産分割調停の期日は、相続人全員の都合を完全に一致させて決められるものではありません。そのため、病気や通院、仕事の繁忙期、出張、遠方在住、介護などの理由により、指定された期日に出頭できないケースは現実的に多く発生します。このような場合、最も避けるべき対応が「何もしないで無視すること」です。
調停期日に出頭できない事情がある場合は、期日前に家庭裁判所へ連絡し、期日変更(期日延期)を申し出るのが正式な対応です。電話連絡だけでなく、必要に応じて上申書を提出し、出頭できない理由を具体的かつ客観的に説明します。診断書、勤務先の証明書、出張命令書などがあれば、説得力は高まります。
期日に出席できない正当理由が認められれば、期日を変更してもらえることも少なくありません。特に初回期日については、比較的柔軟に対応される傾向があります。一方で、連絡をせず欠席した場合は「手続に非協力的」という評価につながり、裁判所の心証を悪化させる要因になります。
重要ポイント: 期日変更の可否そのものよりも、事前に正式な手続きを踏んだかどうかが重視されます。結果として変更できなかった場合でも、無断欠席よりははるかに不利益が小さくなります。
代理人出席と書面提出
本人が物理的・精神的に調停へ出頭することが難しい場合、現実的な選択肢となるのが弁護士を代理人として選任する方法です。遺産分割調停は、代理人出席が原則として認められており、代理人が期日に出席していれば、本人欠席であっても「呼び出し無視」や「不出頭」とは評価されません。
代理人が出席する最大のメリットは、感情的になりやすい相続トラブルにおいて、法的観点から冷静に主張を整理できる点です。相続分、寄与分、特別受益など、専門的な論点についても、裁判所とのやり取りを円滑に進められます。
また、やむを得ない事情がある場合には、書面による主張書や意見書の提出が認められることもあります。ただし、書面提出のみで十分と判断されるかどうかは事案によります。そのため、事前に家庭裁判所へ確認し、必要であれば代理人選任を検討することが重要です。
実務上は「代理人を選任し、本人は必要に応じてオンライン・書面対応」という形が選択されるケースもあります。無理に一人で抱え込まず、制度を有効に使うことが合理的です。
寄与分や特別受益の証拠
調停が不成立となり、遺産分割審判へ移行する可能性を考えると、早期から証拠の準備を進めることが極めて重要です。遺産分割審判では、単なる主張や感情論ではなく、客観的な証拠に基づいて判断が行われます。
もし、被相続人の介護や療養看護、事業への無償協力などがあれば「寄与分」が問題となります。一方で、特定の相続人だけが生前贈与や援助を受けていた場合は「特別受益」として調整されます。これらはいずれも、証拠がなければ認められません。
具体的には、介護日誌、診療明細、介護費用の領収書、通帳の入出金履歴、被相続人名義の不動産登記簿、契約書、メールやメモなどが判断資料となります。証拠は「量」よりも「客観性」と「継続性」が重視されます。
注意: 口頭で説明できるから大丈夫と考えるのは危険です。審判では資料として提出できない主張は、ほとんど評価されません。
審判結果に不服時の即時抗告
遺産分割調停が不成立となり、遺産分割審判の結果が下された場合でも、その内容に必ず従わなければならないわけではありません。審判結果に不服がある場合には、「即時抗告」という不服申立ての制度が用意されています。
即時抗告は、審判の告知を受けた日から2週間以内という非常に短い期間内に行う必要があります。この期間を過ぎると、審判は確定し、原則として内容を争うことはできなくなります。
即時抗告では、単なる不満では足りず、法令解釈や判断過程に問題があることを具体的に指摘する必要があります。そのため、実務上は弁護士の関与がほぼ不可欠です。
注意: 期限管理は自己責任となります。対応を迷っているうちに期間が経過し、取り返しがつかなくなるケースが実際に存在します。
まとめ:遺産分割調停の呼び出し無視で起こる現実とその対応策
遺産分割調停の呼び出しを無視しても、手続が自然消滅することはありません。これまで説明してきた通り、欠席や無視を続ければ調停は不成立となり、最終的には審判に進んで裁判所の判断によって遺産分割が決められます。その過程で、自分の事情や主張が十分に反映されないリスクが高まります。
一方で、調停の期日変更の申出、代理人出席、書面提出、証拠準備といった正しい対応を取れば、不利益を大きく減らすことが可能です。遺産分割調停の呼び出しに対しては、「無視しない」「正式に関与する」という点が、結果を左右するといっても過言ではありません。
遺産分割調停や審判などの制度の正確な運用については、家庭裁判所の公式案内を確認することが重要です。また、遺産分割調停・審判の基本的な流れや権限については、裁判所の一次情報が最も信頼できます(出典: 裁判所公式サイト「遺産分割調停」 )
相続問題は個別事情によって結論が大きく異なります。最終的な判断に迷う場合は弁護士などの専門家へ早めに相談することをおすすめします。
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